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Oracle Database Applianceの検証
第6回「Oracle ZFS Storage Applianceでのバックアップ検証」

 Oracle Database Applianceの検証

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第6回「Oracle ZFS Storage Applianceでのバックアップ検証」

著者:金永昊

Oracle SUN ZFS Storage Appliance について

Oracle Sun ZFS Storage Appliance は、エンタープライズのティア1 環境に対してオラクル社が推奨するNAS ストレージ・システムです。使いやすいブラウザ型ユーザー・インタフェース(BUI)で管理作業を行うことができ、システムのインストール、構成、および調整のいずれの際にも管理の作業が劇的 に簡素化されます。BUI のメニューで簡単に バックアップ先として設定可能で、10GbE または 1GbE から NFS で接続し、Oracle RMAN からバックアップを行うことができます。

Oracle Sun ZFS Storage Appliance の特徴

機能
説明
Hybrid Columnar Compression の機能を備えた唯一のNAS プラットフォーム ストレージのフットプリント、コスト、複雑さを大幅に低減し、Oracle データベース上で3 倍から5 倍の効率向上を達成
ハイブリッド・ストレージプール DRAM、フラッシュ、ディスクにわたってデータ配置を自動化するビルトインの多層型ストレージ
ファイルレベル・プロトコル NFS v2/v3/v4、CIFS、HTTP、WebDAV、FTP/SFTP/FTPS
DTrace ストレージ分析
(モニタリング)
パフォーマンスと容量を直感的で視覚的な分析により、迅速なトラブルシューティングと簡単な管理を実現
高度なデータサービス インライン重複排除機能とZFS 圧縮によって、ストレージ統合と仮想化環境における記憶領域とコストを削減
マルチプロトコルと接続のサポート iSCSI、InfiniBand、ファイバチャネルなど多くのファイルまたはブロック環境においてシームレスに統合
Oracle Solaris ZFS ファイルシステム(アドレス指定能力128 ビット) 高度なエラー検出、自己回復、トリプルRAID のパリティとトリプル・ミラーリングによる高可用性を提供
Oracle との統合 Oracle データベースのバックアップとリカバリを高速化し、Exadata バックアップおよびリカバリのパフォーマンスを顕著に合理化
RAID 機能 ストライピング、ミラーリング、トリプルミラーリング、シングルパリティRAID、ダブルパリティRAID、トリプルパリティRAID ワイド・ストライプ
リモート管理 HTTPS、SSH、SNMP v1/v2c、IPMI

Oracle Sun ZFS Storage 7120 Appliance の構成

機能
説明
ファミリー内での位置づけ すべてのソフトウェア機能を備えた低価格のエントリーレベル・システム
最大ストレージ容量 177 TB
スペース(ラック・ユニット数) コントローラ用に2U、ディスク・シェルフごとに4U
書き込み最適化フラッシュ 73 GB
読み取り最適化フラッシュ なし
※7320 と7420 モデルは、コントローラあたり最大2TB
クラスタ・オプション なし
※7320 と7420 モデルは、クラスタオプションあり。

Oracle Sun ZFS Storage 7120 Appliance の仕様

区分 項目 詳細
アーキテクチャ プロセッサ 1基の4 コア 2.4GHz、Intel® Xeon®プロセッサ
メイン・メモリー 24 GB
基本構成 構成オプション ・3.3TB~177TB
高速(15,000 RPM)または、大容量(7,200 RPM)のSAS-2 ディスクを使用)
・各24 ディスク(300GB、600GB、1TB または2TB)の追加ディスク・シェルフを最大2 台サポート
標準およびオプションのインタフェース 統合されたネットワーク 10/100/1000 Base-T イーサネット・ポート4 基
ネットワーク接続性
(オプション)
クアッドGigE UTP、デュアル10 GigE、デュアルQDR
InfiniBand HCA、デュアル8GB FC HBA
テープ・バックアップ
HBA(オプション)
デュアル8GB FC HBA
最大ポート数
(コントローラあたり)
1GbE/10GbE/IB/FC 12/2/2/4(単一)
環境 非動作時の温度/湿度
(単一の非ラック・シス
テム)
-40°C~70°C(-40°F~158°F)、最高相対湿度93%
(結露なきこと)
高度(動作時) 最高3,000m(900m 以上では最高周囲温度が300m ごと
に1°C 下がる)
消費電力 1,200W(フル・コントローラ)
規格 安全性 UL 60950-1 2nd Ed、EN60950-1:2006 2nd Ed、
CB Scheme(国ごとの違いを含む)
RFI/EMI FCC CFR 47 Part 15 Class A、EN 55022 Class A、EN
61000-3-2、EN 61000-3-3、EN 300-386
Immunity EN55024:1998+A1:2001:+A2:2003
物理寸法 高さ 87.12mm( 3.43 インチ)
425.45mm( 16.75 インチ)
奥行 762.0mm( 30.0 インチ)
重量 29.54kg( 65 ポンド)

Oracle SUN ZFS Storage 7120 Appliance のマシン本体写真

10Gbps ポートはFC ケーブルを使用し、
ILOM、1Gbps ポートはCAT5e ケーブルを使用

図 Oracle SUN ZFS Storage 7120 Appliance マシン本体写真と管理画面


Oracle SUN ZFS Storage 7120 Appliance 検証

検証の概要

Oracle Database Appliance からもバックアップができるため、Oracle SUN ZFS 7120 Storage Appliance へOracle データベース・フルバックアップを行い、問題なくバックアップができるかどうか、どれくらいバックアップに時間がかかるかを検証します。


Oracle SUN ZFS Storage Appliance のネットワーク環境

図 Oracle Database Appliance とOracle SUN ZFS Storage Appliance のネットワーク環境


Oracle SUN ZFS Storage 7120 Appliance へのバックアップ検証手順


手順1: Oracle Database をフルバックアップ(イメージコピー)します。

Oracle Database Appliance でOracle RAC を構成後、新たに作成した表領域のサイズは3000GB であり、データ格納用のASM のDATA ディスク・グループのサイズは、9010.32GB でした。


図 Oracle Database Appliance で構成したRAC の初期状態


手順2: Oracle Database Appliance 側で SUN ZFS Storage 7120 Appliance をマウントする為、 /etc/fstab のマウント設定ファイルへ下記のNFS マウントオプションを追記します。

192.168.1.11:/export/backup /mnt nfs
rw,nosuid,nodev,hard,intr,rsize=1048576,wsize=1048576,
actimeo=0,proto=tcp,nfsvers=3,
addr=192.168.1.11 0 0


手順3: Oracle Database Appliance より、以下のRMAN Image Copy バックアップスクリプトを実行します。(パラレル6)

CONFIGURE CONTROLFILE AUTOBACKUP FORMAT FOR DEVICE TYPE DISK TO '/mnt/backup_ctl_%F.bak';
CONFIGURE CONTROLFILE AUTOBACKUP ON;
CONFIGURE DEVICE TYPE DISK PARALLELISM 6;
BACKUP AS COPY DATABASE PLUS ARCHIVELOG DELETE ALL INPUT;

・RMAN パラレル機能は、Oracle Database Enterprise Edition のみの機能です。

手順4: イメージ・コピーバックアップの結果を確認します。

図 Oracle racle Database Appliance からZFS Storage Appliance へバックアップ終了


Oracle SUN ZFS Storage 7120 Appliance 検証結果

検証の内容 結果
Oracle Database Appliance からOracle
SUN ZFS Storage 7120 Appliance への
RMAN イメージ・コピーバックアップ
2.93TB のデータベースをフルバックアップ(イメージ コピー)したら、2:37:45 でバックアップが完了しまし
た。

実際に使用可能なデータベース格納用領域は3TB がMAX でした。
9,600TB のDATA ディスク・グループはHIGH 冗長性(※注1)になっているので、実際に使えるサイ ズは 32,000GB(1/3)でした。
今回の検証では、Oracle Direct NFS Client(※注2)を使用せずに、OS カーネルNFS を使用しまし た。Oracle Direct NFS Client を用いた場合は、より高速でバックアップが出来たと思います。

※注1:HIGH 冗長性は少なくとも3 つの障害グループが存在する必要があり、エクステントごとにミ ラー化された2 つのコピーが存在する3 方向ミラー化でミラーリングが行われます。
※注2:Oracle Direct NFS Client は、OS カーネルNFS をバイパスして、Oracle Database が直接NFSを利用してNAS デバイスにアクセスする機能(11g でサポート)です。



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